【 MY NOTE 】

MY NOTE:つれづれと綴るもの。


Episode 5-3 Part 1 終了しました  2017/12/20(水)
クマイラのこと  2017/12/20(水)
家出  2017/12/02(土)
近頃のマイブーム料理  2017/11/12(日)
愛すべきダメ男  2017/11/07(火)


Episode 5-3 Part 1 終了しました

Episode 5-3 のストーリーが、当初の想定より随分長くなってしまったので
エピソードを3つに分割することにしました。

というわけで、Part 1の終了です。


今回は本当に疲れた( ;∀;)

だいたいいつも2か月くらいのスパンでエピソードを切り上げられるのですが、
今回はあれもこれも描かないと… とどんどん膨らんでいって、丸々3か月かかってしまいました。

その間、殆ど休みなく毎日原稿を描いていて、
疲れが臨界点に達すると、どうしようもなく落ち込んでしまうので
気分のコントロールに難儀しました。


疲れて疲れてひぃこら描いていると、
ふと降りてくるんですよ、魔の暗黒ワード、

"こんなもの描いてて意味あるのか?" と。


こんな漫画描いてて意味あるんだろうか、と自分の漫画の意義が自分でわからず、
無価値なものを延々身骨削って描いているのではないかと思い、
これまでかけた時間も自分の思いも行動も全部無意味なものだったのかなぁ、
と振り返ってとんでもなく落ち込むのです。


こういう思考になってくると、あぁ今疲れてんだなと自分でわかるようになってきて、
ぐっすり寝ればだいたい翌朝にはケロッとするのも経験則でわかるので
もうぱっと寝てしまいます。


しかし疲労とネガティブ思考の相関性に気がつくまで
幾度もとんでもない落ち込みをこらえて踏ん張ってきた歴史があります。


私がこの漫画を描くことを通じて得ているものは
忍耐強さと気分の落ち込みへの対処法ではないかとふと思いました。




そんな中で読者の皆様からいただく応援はとても慰められます。

Web Comic Rankingへの投票や、感想のメール等いつもありがとうございます。
気が沈んでどんよりしているときでも、励まされて心が軽くなるようです。

本当にありがとうございます。

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さて今回のお話は、クマイラの目を通して語ることが多かったかなと思います。

いわゆる"普通の女"ではない生き方を選択した彼女を描きたかったのです。

そしてどんな生き方をしている人でも、
社会全体のためにできることがあるはずだと彼女は信じていることを表現したかったのでした。




近年、個人主義的な価値観がおよそ西洋諸国のスタンダートになっていて、
どんな生き方をしようがその人の自由であり、尊重するべきだという風潮です。



結婚のこと、子づくりのこと、あるいは恋愛のことでも、
どんな風に生きるかは個人の自由であるし、大切に尊重されるべきものです。

けれど一方で、昨今のネット上では、自分と違う生き方をしている人への不満や反発が重なって
言葉による攻撃や諍いが発生しているのも散見されます。


このような他者への不寛容は、日本人の特質というより経済状況の先行きの悪さが元凶なのではないかと感じています。

有り余るほどお金を持ってゆとりのある暮らしをしていれば、他者の生き方なんてさっぱり気にならない。
好きにしてくれ、へーい、ってな感じでラフに生きられると思うのですが、
生憎そうではないギスギスした社会においては、余裕のなさはたやすく攻撃性に転じてしまう。



日本はこれからますます貧乏になっていくんだよ、

と私の夫はよく言うのですが、残念ながら私もそう感じています。

ますます貧しくなる社会は、ますます寛容性を失ってしまう。


そもそも個人主義なんていう理想的概念は、物的に豊かになった近現代だからこそ発生しているもので、
環境不安や社会不安に陥った場合たちまち消失してしまうものだと私は考えています。

これから先、人間への寛容性を損なうまでに日本社会が貧しくならないことを願うのですが、
先細りする人口や競争力・技術力の進歩の減速が目に見えているだけにとても心苦しい。




人間の尊厳は経済的な豊かさがあってようやく守られるものだという事実は悲しいことですが、
そういう世界で生きている以上、各自が自衛できるところは自衛し、
また助けが必要な人にはそっと手を差し伸べる寛容さが回りまわって自分を救うことにもなる。


こういう良識的な行動の循環は、それこそ古代から延々と宗教や民話と化して人間に伝え続けられているもので、
現代でも変わらない、そして未来でも変わらない。
なぜなら世の中から不条理は取り払えないから。


人間の宿命ともいうべき不条理が、相変わらず未来でも続いていて、
それに対してどう向き合うのか、というのがこのSF漫画の根底にあるものなのかもしれません。


… というのを、描いていて最近ようやく自覚しました。



Date: 2017/12/20(水)


クマイラのこと

一言メールフォームからメッセージをくださる読者の皆様、いつもありがとうございます。


クマイラが好きだという感想をよくいただくので、
作者としてもほっとして嬉しくニヤついてしまいます。


なぜほっとするのか? 

以前にもこの日記に書いていたかもしれませんが、
クマイラが登場した当初は、読者の皆さんが彼女を好きになってくれるかどうかわからなくてとても不安だったのです。

ベッドシーンから始まる特殊な登場の仕方だったし、
漫画のヒロインにしては齢をとってる。(主人公と同い年、34歳)

苦い初体験の記憶の回想から始まるヒロインを、
読者の皆さんが受け入れてくれるか実はメチャクチャ心配していました。


それでも私が思い描いた可愛くチャーミングな大人の女性を表現したくて、
登場するのに12年もかかったヒロインを好きになってほしくて、
彼女の描写には当初からかなり気を配っていました。


それが今は読者の方から感想のメール等をいただく際、
特に名前があがるキャラクターがクマイラになっています。

おかげさまで作者は安堵し、ニヤついてしまうのです。



さて、今回はそんなクマイラの可愛いところをたくさん描けたお話だったと思います。


特に終盤の主人公との会話シーンは、
まさにここを描くための長い導線として、延々いろんなエピソードをつなげた結果でした。



Episode 5-1 の川辺のデートで、
学校を造るんだと語る彼女を見ながら主人公が何も言わなかったことを、読者の方が気づいていてくださっていたら作者冥利に尽きます。



彼女が造る学校は、もちろん私立校で、国からの助成も少なからず下りているだろうとは思うけれども、
高サービスを謳う彼女の学校に通えるのはどんな子なのか? と考えると、
それは本当にごく一部の恵まれた子供たちだけに限定されてしまう。

(校庭の造園工事とか一体いくらかかったんだよ〜 と描いてて自分でも思うのです)


だからといって、それが思慮浅い仕事であるとも偽善であるわけでもない。


しかしクマイラは富裕層の優しい世界しか知らずに育った側面もあって、
主人公はそんな恋人の仕事を責めも賛同もせず、ただ黙って見ているというのを表現したかったのです。



主人公はあまり口数が多いほうではないと思うのですが、
終盤の会話シーンでは珍しく吐き出すように語っている。

そこにいろいろ万感の思いを詰めました。

ここまで描き進められてほっとしています。




Date: 2017/12/20(水)


家出

Episode 5-1 でクマイラが同棲の誘いを断ったのを惜しむ声を読者さんからいただいたのですが、
あれは彼女が恋に溺れて自分の責務を疎かにする人間じゃないことを表現したかったのと、女たちの避難先を用意してあげたかったからなのでした。

ダメ男とつき合うにはいざという時に離れられる場所が必要なんですよ。

これは漫画の話だけじゃなくて、現実世界でもそうですよ。



この家出のエピソードを構想したとき、
どうしても安全地帯としてのクマイラ自身の家が必要だったので
あえて同棲を断るというかたちで彼女の自立性を描きました。


家出の伏線が回収するところまで進行できて作者はホッとしています。

あと少しでキリのいいところまで行く!
もう少し気合入れて頑張ります。
Date: 2017/12/02(土)


近頃のマイブーム料理

今日の昼食は余ったチャーシューのサンドイッチとロスティ。 激ウマ。


ロスティは近頃の我が家のマイブームで夫の大好物なので、作るといつも大喜びしてくれます。

スイスのジャガイモのパンケーキなのですが、それを初めて知ったのはカルディの店内POPでした。

ほーん、ジャガイモだけで作るのか〜
それならこんな高いロスティの元を買わなくても自分でできるんじゃ…
と思って帰って調べてやっぱり生のジャガイモだけで作れると判明。

シンプルな材料、簡単調理で激ウマな新しい一品がレパートリーに加わりました。

レシピはこちらからどうぞ:
http://cookpad.com/recipe/3534931


ハッシュポテトやフライドポテトよりも油が断然少ないので
カロリーが気になるけど揚げた芋食べたい! という人にもおススメです。

じっくり低音で焼いてカリカリにすると美味です。
Date: 2017/11/12(日)


愛すべきダメ男

このカットは表情がよく描けたなと思いました。

一言メールフォームから「研究者ってバカなんだから…」と合いの手いただいて、
読者さんが主人公の性格を掴んでくださっていることに作者は嬉しくなりました。


そう、この男は基本的にダメ男なんですよ。
自分の興味のある方向ばかりに思考が向かって、そのほかのことは殆ど何も考えてない。

顔がいいだけ思慮深そうに見えるけれど、基本何も考えてない。

そのくせ自分の欠点を指摘されると逆ギレする始末の悪さで、
今回はそんな愛すべきダメ男のお話です。


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Twitterで普段私が考えていることを思いのままに書いたことなのですが、
漫画の要素としても大事にしたいことなのでこちらにも転記しておきます。


中学生の頃、小説『パラサイト・イヴ』を読みました。
独自のDNAを持つミトコンドリアが実は太古の寄生生物で人間を支配するために反乱を起こす…
という着眼点の面白さを評価された作品ですが、私はむしろ臓器移植の現状の問題を知って強い衝撃を受けたのでした。


麻理子という少女が腎臓移植を受けることで物語が展開するのですが、
それに至るまでに臓器提供を受けられることがどれだけ奇跡的な幸運なのか。
待機時間の長さ、代替治療の苦しさの描写がとてもショックで、
患者は殆ど絶望に近い状態で待っていることを教えられたのです。


小説の記述がとても衝撃的だったので日本臓器移植ネットワークに問い合わせて資料を送ってもらった程なのですが、
驚くほど事例件数が少なかった。
日本の臓器移植の現状は法改正されて以降もまだ少ない。
平均待機時間が北欧諸国では半年なのに対し、日本は16年かかっている。


麻理子は一度父親から片方の腎臓をもらう生体移植を受けたけれど、
思春期に薬の副作用が辛く、いじめられてせっかくの臓器を自分でだめにしてしまう。
「人の臓器をもらってまで生きたいのかよ、意地汚ねぇ」といういじめっ子のセリフは漫画版だったのかな? 
それが今でも忘れられません。


北欧で臓器移植の成功事例が多いのは人口が少ない故にネットワークがうまく稼働している云々があるのでしょうが、
人の持つ意識も大きいのでしょう。
高福祉社会では、社会から受け取るものが大きい分、自分もそれなりのものを差し出さねばならない。
そういうシステムを漫画の中で描こうと思いました。


漫画の中で献体法という全員がドナー候補になる架空の法整備をしていますが、それでもまだドナーは足りない。 
そんな中で幼稚園から呼び出されて主人公が怒ったのは致し方ないジレンマなんだと読者の方に伝わっていれば嬉しいです…


一方で臓器移植が絶対正義かというとそうでもない。
私の尊敬する分子生物学者の福岡伸一さんは、生物の体は部品にぶつ切りできるようなものではないのだ、
全身が悲鳴を上げるような拒絶反応を薬漬けで抑えてまでする移植が正義とは思えないと言及されていて
問題の二面性を改めて考えさせられました。


臓器不全を無問題で解決できる魔法を人類が手に入れるまでの過渡期としての技術が臓器移植で、
漫画の世界は多少未来だけどそこまで進歩はしていない。 
それでも技術の更新のために前進を諦めない科学者たちの姿をこれからも考えつつ描いていきたいと思います。

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小説『パラサイト・イヴ』は着眼点の面白さからバイオ系の研究者の間でも定評があるものと思いますが、
私は臓器移植の現状を一般読者に知らしめる啓蒙の意図も作者にあったのだろうなと思っています。

同じような観点で『パラサイト・イヴ』を読まれた方から感想のメッセージもいただいて、
とても嬉しかったです。



この漫画の主人公の職業設定を考える際に『パラサイト・イヴ』の影響があったのはもちろんのことです。

臓器移植に関する要素をこの漫画の中にひとつ設けたのは、
舞台となる国がどんな社会なのか表現したいためでした。

社会のために、死後自分の内臓を無条件で差し出すことができるのか、という
ある意味で高福祉社会の究極系のような設定を作りたかったのです。


環境的に制限され、他民族が暮らす社会の中で、その平穏の維持のためにどこまで自分を差し出せるのか。

行き過ぎた自分本位の個人主義ばかりが横行しては 社会はたちまち争乱を迎えるでしょう。

けれど個人はどこまで守られるのか? 
全体を生かすあまり個を殺すことが本当に明るい未来を招くのか?



架空のSF世界でそのシミュレーションを考えるのはなかなか面白いことです。


またあれこれ考えながら漫画を描いていきます。


Date: 2017/11/07(火)


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